ES細胞の基礎研究が行われていない

昨日理研BRCの倫理委員会で知ったことであるが、ES細胞を用いた基礎研究があまり行われていないらしい。唯一の分配機関である理研(ですよね?)で、今年度分配が「なし」ということは、自前で作って持っているところ以外ではほとんど行われていないということだろう。

これだけ「再生医療」が盛り上がっているのに、肝心のES細胞を使った基礎研究がなされていないというのはおかしなことではないのか。大丈夫なのだろうか。

ES指針はしばらく前に作成・分配指針と利用指針が分離され、利用の方は悪名高い「二重審査」の対象ではなくなった。それでも、国に届け出は必要であり、使う側としては相当に「余分な手間」であるのだろう。

機能的にはiPSと変わらない、という前提であるなら、ESに特化した利用指針はなくしてしまってよいのではないか(前からこういう主張はしていたような気もするが自分でもちょっと忘れてしまった)。ES細胞特有の倫理的課題は、作るときに胚の提供を受ける必要があり、またその胚を壊さなければならない、という点に尽きる。使うところでは「大切にね」という以上のことはないはずで、それはあえて国が確認しなければならないほどのことではないであろう。

再生医療等安全性確保法との関係で、ES指針の在り方も見直されるはずなので、忘れないように書いておいた。

〔加筆〕ESもそうだし、再生医療等安全性確保法もそうだが、フォーマルな手続を多数必要とする厳格な規制をかけると、人的資源が豊富で再生医療等研究の経験のある大きな研究機関以外での研究が非常に難しくなる(要するに新規参入が妨げられる)。新規参入がなければ問題が起こることはないだろうが、研究の進歩もない。再生医療関連の立法が、大きな研究機関の既得権を守り、闊達な研究を妨げるものになってしまっては(なっている、と思うのだが)、いくら資金を投入しても将来は望めない。

Pocket