再生医療安全性確保法について(2) 経緯のつづき

どの時点で誰がどう決めた、ということではなさそうだが(おそろしく日本的です)、振り返ってみると、2つの方向性は「既定」であったと思える。2つの方向性とは、①ES、iPS臨床研究の審査体制は従来通りのシステムを堅持する、②自由診療に何らかの形で手出しができるようにする、というものである。加えて、これは政府からの要請で、③とにかく法律を作る、ということも既定の路線であった。

法律を作り、その中で従来のヒト幹指針と同様のES、iPS審査体制を維持し、かつ自由診療に規制を及ぼす、というのは、今考えても、ほとんど実現不可能である。

まず、ES、iPS等の臨床研究について、あくまでも外側から見た印象に止まるが、厚労省はヒト幹指針の下で相当強力なコントロールを及ぼしていた。どの研究を一番最初の臨床研究として申請させるか、ということすら、実際上厚労省が決定していたのではないか、と私は見ている。こうしたことは、指針によるコントロールが、建前上は「行政指導」に止まり、法的拘束力がないからこそできたことであり、これを法律でやったら文句なしに憲法違反である。

自由診療については、規制の必要があることは理解できる。しかし、前回((1))も書いたように、「なんちゃって再生医療」と同じかそれ以上に危険な医療行為はいくらでもあるわけで、再生医療だけを規制するのは理屈に合わない。そればかりでなく、これも前回書いたことだが、医師免許があればあらゆる医療行為の実施が許される現行のシステムの下で、再生医療だけを取り出して実施を制限するなどということは、仕組み上考えられない。半年かそこらで急に認証システムを作ることもできないだろうし。

しかしともかく、新法において、それらの要請はすべて実現されたのである。結論からいうと、自由診療については、まあこんなところだろう、と思う。しかし、ES、iPS等の臨床研究の規制にはいろいろと問題があるように思う。概要は次回にまとめます(つづく。すごく大河連載になりそうだ…)。

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